時価総額(market capitalization)とは

上場企業の株価は株式市場の需給によって、毎日・毎時・毎分その価格が変動し、どの時点においても一定の株価を有しています。これが「時価」です。時価総額(Market capitalization)とは、ある企業の株価に、その企業が発行した株式数を掛けることによって求められます。

時価総額は株価が高いか、発行済株式数が多ければ高い数値となります。すなわち、時価総額の大きさは、当該企業の現在の業績や将来の成長に対する期待に対してどれぐらい期待を集めているのか、評価されているのかを知る目安となります。自社株買い及び消却などで株式数が減少しても、その企業が期待を集めている限り、株式への需要は変わりありませんので、それだけ株価が上昇し、時価総額は維持されます。また、その企業に対する期待が変わらない限り、増資などで発行済株式数が増えても、株価が下落することで、時価総額は維持されます。

この時価総額という投資尺度は、期待に大きな影響を受けます。期待は時に行き過ぎ、株価は過大に評価されたり、過小に評価されたりします。したがって、時価総額を絶対的な投資尺度として見るのではなく、多様な尺度の一つとして見るべきでしょう。

時価総額は企業買収の参考になる

企業を買収する際には、2つの「価値」について検討する必要があります。

ひとつ目の価値は買収対象となる会社の株式を取得する時のコスト、株式価値です。この株式価値を評価する方法には大きく分けて2つあります。一つは「マーケットアプローチ」で、株式市場での株価(すなわち時価総額)をもって評価する方法(市場株価法ともいう)です。もう一つは「マルチプルアプローチ」で買収対象の会社と事業内容が類似している上場会社と業績・財務数値を比較することで、相対的にその企業の時価総額を評価する方法です。

もう一つはの価値は、買収対象企業が持つ事業そのもの価値、事業価値です。この事業価値を評価する方法は大きく分けて2つあります。一つは「インカム・アプローチ」で、企業のキャッシュフローを現在価値に割り引いて価値を算定したり(市場株価法)、利益を資本還元して対象会社の価値を算定したり(収益還元法)します。いま一つは「コスト・アプローチ」です。バランスシート上の純資産額から対象会社の価値を評価します。

日経平均とTOPIX

当該企業の時価総額ではなく、市場全体の時価総額を求める時には、市場平均の株価が問題となってきます。市場の平均株価として代表的な指標には、日経平均とTOPIXがあります。

日経平均(日経平均株価、日経225とも)は、日本あるいは東京の株価を示す指標として最も有名な株価指標の一つです。しかし、日経平均は市場全体の平均を表すわけではありません。日本経済新聞社が東京証券取引所第一部に上場する銘柄の中から、日本を代表する株式として225銘柄を選定し、その平均株価を求めたものです。

一方TOPIX(TOkyo stock Price IndeX, 東証株価指数)は、東京証券取引所第一部上場株式銘柄の時価総額を元にして指数化されたもので、現在の東証の時価総額/1968年1月4日時点の東証の時価総額*100で求められます(実際には単純に時価総額だけを用いて求めるのではなく、個別銘柄の浮動株比率を元に調整を加えています)。

時価総額を投資判断の指標にする

時価総額は投資判断の指標としても役に立ちます。その理由を2つご紹介しましょう。

第一の理由は、時価総額は市場が当該企業に与えた現時点での評価だということです。すなわち時価総額が高ければ高いほど、その企業に対する市場の評価が高まっていることを示しています。企業の価値はその企業の財務内容から考えるべき、と思われるかもしれませんが、決算発表は多くて3ヶ月に1回です。リアルタイムに表示される株価そして時価総額は、その企業に対するその時点での価値を測るのに最適な指標と言えるでしょう。

第二の理由は、重要な投資指標とされる予想PERの計算に時価総額が使えるからです。PERを計算する方法は2つあり、「株価/EPS」もしくは「時価総額/当期利益」で求められます。前者は、予想PERを計算する際に、予想EPSを用いる必要があるのですが、予想EPSはすぐには計算できません。それに対して、当期の予想利益が新聞報道などで発表されれば、その時点での時価総額を用いることによって、予想PERを算出することが可能になるのです。

以上の2つの理由から、時価総額は投資判断の指標として有用であるといえるでしょう。

コメントは受け付けていません。